商品が売れない理由。テレビショッピング目線で徹底解剖!
Contents
いつもありがとうございます。
テレビショッピング関連のお仕事をしていると、ほぼ毎日テレビショッピングをみたりしています。そして、見る度に購入してしまう私。ミイラ取りがミイラになるというのはまさにこのことだなと日々実感している宮坂珠理です。
今日は、私がショッピングチャンネルに勤めていた経験から、売れる商品と売れない商品の違いについてお話していきます!
以外と知られていないTVショッピング裏事情
私たちのコスメはショップチャンネルにて3時間半で1億5,000万円売れた実績があります。1分間で71万円。時給換算で4,300万円。テレビショッピングの世界は、当たると大きいです。でも、どんな商品でも販売できる訳ではありません。ショップチャンネルのような24時間のショッピングチャンネルの場合、時間枠をお金で買うのではなく、売上た分の何十パーセントかをショップチャンネルに収める形になっています。
ですので、ショップチャンネル側も、商品供給会社も「商品が売れなければ儲からない」仕組みになっているのです。商品選考はとても厳しく、どんなにいい商品だと自負していてもバイヤーに会うこともできず、資料を送っておしまい。というパターンがかなり多いのです。そして、運よく放送が決まっても、永く放送されるベストセラー商品になるのは至難の業。1,2回放送して売上が芳しくなくて撤退。なんてこともよくあります。ワールドカップでいえば、ベスト16に残れず敗退みたいな感じです。
大事なのは商品力よりもストーリー性
商品がいいのは当たり前の世界
では、どんな商品が激戦を勝ち抜いてベストセラーになっていくのでしょうか?商品力でしょうか?いいえ。はっきりいってそれは違います。(断言!)テレビショッピングの放送枠は30分から1時間。その中で商品の魅力について語り、お客さんに買ってもらうようなトークを展開していきます。
話す時間が30分も1時間もあるということは、まず最低限それだけの内容、ストーリーがなければもたないということなのです。
テレビショッピングでオンエアーできるのは、本当にいい商品だけ。つまり、商品がいいものなのは当たり前なのです。問題は、その良さ・魅力をどう伝えるかが重要なのです。そんな時、出会ったのがルーマニアのアンチエイジングコスメ「ジェロビタール」でした。化粧品をテレビで販売する場合、「薬事法」に沿って説明をする必要があります。「薬事法」では、化粧品は医薬品ではないので、「シワが取れる」とか「肌が白くなる」という直接的な表現は一切使えません。そこで、そのような直接的な表現をつかわず、この商品の魅力をバックグラウンドから伝えることにしたのです。
「国家プロジェクトから生まれたアンチエイジングコスメ」
「日本で言ったら厚生労働省とかが化粧品を開発しているようなもの」
「ルーマニアの独裁者が自分の「若さ」を保つために研究させたコスメ」
「世界中のVIPがお忍びで訪れて、このコスメで若返り治療のケアを受けている」
「結果が出なかったらどうなるか?想像するだけでも怖いですね!研究者も命がけで生み出してます」
「現地にいかなくともVIPが使っていた同じ商品を手に入れることができます」
いかがでしょうか?使いたくなりましたか?
売れる商品にはお客さんが納得でき、使ってみたい!と思わせるようなストーリー性があります。
逆にいうならば、ストーリー性の無い商品は売れません。
お客様に「ああなりたい!」「自分もなれるかも?」と思わせる
当然、商品のジャンルによっても若干の差はありますが、特にコスメの場合かなりシビアです。商品のストーリー性はもちろんのこと、商品が放送にのるかどうかの選考基準として、一番重要視されているポイントは
商品を紹介する人のお顔の造作とお肌がキレイであるかどうか。です。
なぜプレゼンターの造作や肌が重要なのか?
ショップチャンネルで商品を販売するときには、キャストやナビゲーターという進行役の他、ブランドを代表して商品を紹介するプレゼンターの2人で進行していくことがほとんどです。
テレビショッピングを見ている方の多くは40代以上の女性。そのターゲット層に響くものでなければ売れません。
商品の中身もさることながら、商品を紹介しているプレゼンターもターゲット層に響く人でなければならないのです。つまり、この商品を使うとこのプレゼンターのようなキレイな肌になれるのね!とお客様に思ってもらうためには、当然紹介している人の肌のキレイさは重要項目だということがわかりますね?
それならば若くてキレイなプレゼンターを採用すればよいのでは?という疑問を持たれるかもしれません。たしかに、20代ぐらいの方は40代、50代の方よりもキレイだし、肌もピチピチである確率は高いです。ですが、先ほども書いてきたように、テレビショッピングを見てる人たちはほとんどが40代以上だということを考えると、若いプレゼンターは説得力に欠けてしまいます。
「あの人は若いから肌がきれいなのは当然よね」と思われてしまうからです。
プレゼンターはテレビを見てる層と同じぐらいの年齢、またはそれ以上の年齢だけれど、実年齢よりもずっと若く見える造作と素肌でなければ売れない。
プレゼンターの顔の造作と肌のきれいさが売り上げに大きく影響してしまうポイントの一つです。
お客様の最後の疑問に答える「デモ」が注文を呼ぶ
テレビショッピングでは、化粧品などの「説明型商品」の場合、最初からコール数が上がるというよりも、番組が終わる最後のほうに注文数が増えるという傾向にあります。お客さんが、どんな商品でそんな効果があるのかじっくりと番組を見ながら商品の良さを確認し「いいな」と思った時。最後に湧き上がるのがこんな疑問。
「でも、本当にそうなるのかしら?」
こうしたお客様の最後の疑問に答えを出し、電話に手を伸ばす背中を押してくれるのが「分かりやすいデモ」です。私たちが以前手掛けた輸入化粧品があります。オールハーブでできた美白のパック。お顔にぬると「白塗り仮面」のようになります。その化粧品をテレビショッピングで販売することになり、私はあえて肌がキレイで顔の整った男性を商品紹介者として打ち出しました。そして、その男性を「白塗り仮面」の状態で登場させ、一通り商品の説明をした後、生放送中に洗い流してもらったのです。白塗り仮面を外すと、画面いっぱいに映し出される「白く透明なつるつるぴかぴかのお肌」!そこから注文コールが一気に跳ね上がったことは言うまでもありません。
売れる商品の3要素
このエピソードには続きがあります。
とても分かりやすいデモのおかげが功を奏し、この商品はとんでもない売上を記録しました。ショッピングチャンネルが世に出た初期のころの放映で、まだ1時間50万円という売上がざらだった時代に、その商品はその時に1,000万円を売り上げる商品になったのです。
しかし!!その後、商売の世界でよくある話ですが、輸入元の会社が欲を出し、直接ショッピングチャンネルでその商品を販売したいと言って弊社の契約を切ってきました。ゲストも変更し、新たにスタートした内容での売上は・・・・
1時間に43万円。
商品力さえあれば売れると思って勘違いすると、こんな悲惨な結果になります。テレビショッピングで売上を上げるためには、お客様を納得させるストーリー性。出演する商品説明者のキャラクター。インパクトのあるデモ。この3要素が揃って初めて生みだされるものなのです。